病気の小さなかわいい女の子は祈りました。どうか私の小さな種を元気にしてください。 夏の暑い日、風鈴がちりんちりんと鳴いた。 病院の女の子が小さなコーヒーカップに土をいれた植木鉢に小さな種を植えた。 しばらくたったが、芽がでてこない。 女の子とお母さんは心配して、励ましました。 「わたしとおなじように、病気なのかしら。わたしと同じようにお外であそぶことができないの?」 ママは、「すこし寝なさい。あまり起きていると体によくないわ。すぐに元気に芽がでるわよ。」 でも、女の子はだまって、言うことを聞かなかった。 「まだ、みてる。」 「寝ないと、元気になれないわ。コップの種だって、ぐっすり寝ているでしょう?」 「まだ、寝ない。」 「もう、寝なさい!」とちょっとママが強く言った。 女の子は、いやいやベットの布団にがさごそともぐりこんだ。 ママは、女の子の布団を首のところまでやさしく掛けてあげて、 「コップの種も元気に出てくる、しょうちゃんも元気になるから大丈夫よ。ゆっくりおやすみなさい。」 女の子は神様にお祈りした。「どうか私のかわいい種を元気にしてください。」 「おやすみなさい。」と言って、ママは電気を消した。
忙しい街の中。 遠くの方から、虹色の小鳥が飛んできた。こっちに向かってきて、時計台で休んでいる年寄りハトの横に降りてきた。 「おや。めずらしい。しばらく妖精は見なかったけど。いまどき、居たんだねえ。」 年寄りのハトは、虹色の小鳥の背中に、小さな女の子のような、透けた金色の羽根をもった小さな妖精が乗っていたので、くるうっと言った。 妖精は、「こんにちは。はじめまして。はとさん。お元気ですか?ここは初めてでよくわからないの。」 「用があって来たのだけど。桜野病院というのは、どちらですか?」 ハトは、右の羽をどっこおいしょ、とあげて、ちょっと下の方向を指さした。 「それなら、あそこのクヌギ木を右に曲がってまっすぐ行ったその先に、かわいい赤いレンガのお店の前だよ。」 「どうもありがとう。」と言って、女の子の妖精は小鳥に乗って飛び立った。 妖精が小鳥にのって、病院の女の子のところにやって来た。「ちょっと待っててね。」 窓の内側にある、コップを見つめている。「あれね。」でも、窓が開かない。 風鈴の音が鳴った。 向こう側の窓は、網戸になっているので開けてみるが、重くて開かない。 口笛を吹いて、小鳥を呼んで。小鳥ががりがりして、やっとすこし開いた。その隙間を通って中に入る。 妖精は、女の子がすやすや眠っているのを確認すると、コップの中の土の上にひらひら舞い降りた。 ごぞごそっと、土を掘り返す。どっこいしょっと、種を取り出した。 後ろに女の子が起きていて、「あなた神さま?」 妖精はじっとして、そうっと顔を振り向けた。 女の子は「よかった、わたし神様にお願いしたの。芽が出るようにって。だから、あなたがお使いとしてきてくれたのね。」 「神様とはちょっと違うけど。あなたの声が聞こえたの。それでやって来たのよ。」 「この種の子はとっても弱くて、病気なの。だから元気がないので芽が出ないの。だから、この子の体を治さないといけないの。」 女の子は、「そうなんだ、かわいそうに。お願い治してあげて。」 妖精はリックから、注射を取り出した。 「元気100倍のもりもり注射!これをあげればきっとよくなるわ。」 「この薬はこの種の子が元気になるどころが、周りにあるものまで元気になってしまう程のもりもりパワーがあるのよ。」 女の子は、にこりと笑って喜んだ。 「これで元気になるの?そして、元気に芽がでて、元気にお花がさくのかしら?」 妖精は、「ええ、きっと大丈夫よ。あなたも、この種の子が元気になれるように、力パワーを頂戴ね。」 「うん。わかった。この種の子が元気になるように私の力パワーをいっぱい、いっぱい、あげるわ。」 「うん。うん。その調子。ゆっくり見守ってあげてね。ではまたね。さようなら。」 そういって、妖精は女の子にバイバイをして、ふわっと飛び立った。 女の子は、椅子を窓の近くにもってきて、妖精が出ようとした窓をすこし開けてあげた。 「どうも、ありがとう」といって妖精は窓からふわりと飛んだ。 しばらく飛んでいると、虹色の小鳥がひゅっとやって来て、妖精はその小鳥の背中に乗った。 妖精は、バイバイと女の子に手を振ると、小鳥はきゅーと言って、しゅわーっと飛んで行ってしまった。 女の子は、どうもありがとう神様。と手を組んで、夜の明るい空を、鳥が飛んでいった方をじっと見つめていた。
女の子が目を覚ますと、 「しょうちゃん起きた?窓のコップを見てごらん。」とママ。 バッと、跳び起きた女の子はコップの中をのぞき込んだ。 コップの中の土のちょうど真ん中に、ぷっくりとした、緑の小さい、ちょこんとした、かわいい、まあるい、細長い、ちっちゃいものが、ちょこんっと出ていた。 「まあ!これって種の子の芽がでたの?」 「そうよ。ちょっと遅れたけど、元気に出てきたみたいね。」 「きっとこれから大きくなって、きれいで、かわいい、お花をつけるわよ。」とママが言った。 「そうなの。種の子も元気になって、お外の世界に飛び出してきたのね。よかった。うれしいわ。」 そう言うと、女の子は、コップの植木鉢を自分のまくらの横において、ふとんをぼわっと自分で掛けて、横になった。 ありがとう、神様、妖精さん。 植木鉢を見て、ママの目を見て、女の子はにっこりと笑って、目を閉じた。
おわり
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